南極点でくらす1年間のきろく

アイスキューブニュートリノ望遠鏡のWinterover(越冬観測員)として、1年間南極点のアムンゼン・スコット基地に滞在しています。家族、友達のみんな、まだ生きてます。

ゴーイング・ダウン・デアー

来月の今頃は、南極点にいる予定です。いよいよです。

そういえば、慣例なのか何なのか、どの共同実験者も”南極点”という言い方はしないです。 みんなdown thereと表現します。 今年はキミはdown thereに行くんだっけ?みたいな。

ということで以下、down thereに至るまでの今後のスケジュールです、

  • 10月中旬から下旬:コロラド州デンバーで他の越冬するメンバーと一緒に訓練
  • 10月下旬以降:デンバーからニュージーランドのクライストチャーチにいく
  • 天候次第:南極沿岸のマクマード基地まで超特別機で向かう
  • 天候次第:マクマード基地から南極点のアムンゼン・スコット基地まで超特別機で飛ぶ
  • そのあと:1年間ずっと南極点♫

こんな感じです。

ところで南極に行く人ってパスポートとかどうなってるんだろう、って思いませんか。 少なくとも僕のケースでは、最後のスタンプはニュージーランドの出国印になるはずです。 南極はどこの国にも属さない(南極条約)ので、パスポートに押せるのは記念印だけです*1。 次の正式なスタンプは1年後、南極からニュージーランドに再度入国する際のものです。 なので、パスポート的には1年間どっかに消えてたことになりますね。 (追記:南極に向かう際にはニュージーランド出国扱いになりませんでした。なのでパスポート的にはずっとニュージーランドにいることになってます。)

以降このエントリーの目的である、ニュージーランド以後の行程がすごいことの自慢です。

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ニュージーランドのクライストチャーチから南極点のアムンゼン・スコット基地に至るまでの航路。

クライストチャーチを発つのは超特別機です。なにしろ行き先は南極です。

超低温下でエンジンが動き、かつ雪上で発着陸ができる航空機でなければなりません。 僕の理解している限り、3機種が毎年状況に応じて使われています。 BT-67(通称”バスラー”)、LC-130(通称”ヘラクレス”)、C-17(通称"グローブマスター")の3機種です。

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BT-67 "basler" (By Timothy Smith - Tas50 - Own work, CC BY 3.0, Link)
わあ...
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LC-130 "hercules" (Credit: Jim Haugen, IceCube/NSF)
すげえ...
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C-17 "globemaster" (Credit: Jim Haugen, IceCube/NSF)

どれもむちゃくちゃカッコいい....

乗ったら感動して、あたまのなかお花畑、ほんと泣いてしまうかもしれません。 例えば日本の南極地域観測隊はきっと船で昭和基地に向かうでしょうから*2、なかなかできない貴重な体験です。ありがとうアメリカ。

どうですか、うらやましいでしょう。

こんなふうに飛行機の写真をみていると、ニヤケ顔がとまりません*3

*1:超楽しみ。100回くらい押してやろうと思います。

*2:これはこれで羨ましい。

*3:そういえば、昔よくニヤニヤしているという理由だけで体育の先生にぶん殴られたことがあります。まだ覚えてるからな、あのやろう!