南極点でくらす1年間のきろく

アイスキューブニュートリノ望遠鏡のWinterover(越冬観測員)として、1年間南極点のアムンゼン・スコット基地に滞在しています。家族、友達のみんな、まだ生きてます。

アメリカ出国、クライストチャーチ着、あしたは南極

いよいよ南極大陸の玄関口までやってきました。ニュージーランドのクライストチャーチです。

デンバーの山奥を脱出したのち、デンバー空港、ロサンゼルス空港と乗り継いでアメリカを出国します。 ロサンゼルスからは、ニュージーランドの北島のオークランドに向かいます。 13時間という長丁場のフライトでしたが、仲間からもらった紫色の謎の”眠るのを助けてくれる薬”のおかげか、10時間爆睡です。 薬ってすごいですね、まるで魔法のように眠りこけてました。

起きたら南半球、オークランドは初夏の気候です。 朝出発するときは一面の雪景色だったんですけどね。

そういえば、ぼくにとってはじめての南半球です。 ジョンに”地面掴んでないと地球から落っこちちゃうね”、と冗談を言いました*1

オークランド空港のニュージーランド入国審査では、アメリカお墨付きの、”こいつは南極に一年滞在するから特別なビザあげてね”書類を提示することで12ヶ月滞在ビザをゲットしました*2。 特別扱いって気持ちの良いものですね。

オークランドからは一時間ほどの短いフライトを経ていよいよ目的地、アメリカ南極プログラムの拠点のあるクライストチャーチです。 ところで、デンバーからクライストチャーチまでずっといろんな人と、

知らない人)”きみたち、どこに行くの?”

僕たち)”じつは、僕たちこれから南極点いくんすよ。1年間。”

知らない人)”...オーマイガッ!”

みたいな流れを幾度となく繰り返しました。 いやあ、スターになった気分です。気持ちの良いものですね。 ナショナルヒーローです。

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こういう気分。

クライストチャーチは思っていたよりも小さい街のようで、緑に溢れていてとてもきれいなところです。

到着翌日は極寒地仕様の防寒服のサイズ合わせと、インフルエンザの予防接種*3、簡単な行程の説明などがありました。

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ミーティング前のようす。

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感無量。

いよいよあした出発です。

あしたから一年間南極大陸って笑えますね。何だそりゃ。

*1:そうだねって言ってました。こいつアホだと思われたかもしれません。

*2:長い間、南極にいる間はどこの国にもいない状態だと勘違いしていたのですが、どうやらパスポート的にはニュージーランドにずっといることになるようです。

*3:なんか僕だけ注射のあと飴もらえました。なめられてるんでしょうか。(飴だけに。)