南極点でくらす1年間のきろく

アイスキューブニュートリノ望遠鏡のWinterover(越冬観測員)として、1年間南極点のアムンゼン・スコット基地に滞在しています。家族、友達のみんな、まだ生きてます。

元日、ポール・マーカーの更新

南極点で2020年の元日を迎えました。あけましておめでとうございます。

元日恒例、アムンゼン・スコット基地のポール・マーカー・セレモニーに参加しました。 ポール・マーカーは地理学的な南極点を示す棒のようなものです*1

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きのうまでのポール・マーカー。

ポールマーカーの位置は当然測量にもとづくのですが、時間とともにずれてしまいます。 というのも、地面というか、基地がのっかっている氷河が少しずつ動いてしまうからです。 このため、毎年元日に南極点を示すポール・マーカーを更新する恒例行事があります。

ポール・マーカーは位置だけでなく、デザインも毎年更新されます。 当年度のWinteroverのあいだでデザインのコンペがあって、選ばれたものが南極点で製作されます。 六分儀を模したものや、南極点の望遠鏡や検出器をモチーフにしたものなど、どの年のマーカーもすばらしいものです。

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歴代のポール・マーカー。残念ながら1個盗まれています。

式典はもちろん、改めて測量された正確な南極点で行います。 基地のほとんどの人が参加します。

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体感温度はマイナス37度くらい。

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偉いひとが新しいポールマーカーをもってきました。

この日設置されるポール・マーカーは2019年度のWinteroverたちによって作製されたものなので、僕たちはまだどんなものか知りません。

南極点に向かうようにみんなで渦巻のような輪をつくって、アメリカ国旗とポール・マーカーをリレーします。

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アメリカ国旗間違って落としたらえらいことになるに違いない、と緊張しながら自分の番を待ちます。

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”Geographic South Pole”の看板の前に立ってる、黒い旗が正確な南極点です。

南極点に到達後、布を取り払ってお披露目する役は、2019年のWinteroverの最後の一人として基地に残っているルイスです。

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いよいよです。

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ジャーン!

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2019 Winteroverの全員の名前が刻んであります。

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かっこいいですね。

大晦日前後でおもしろい話もあるのですが、なにせ年越しパーティーの二日酔いで書く気になりません...

*1:これとは別にもっと華やかな、(ずっと同じ場所にある記念撮影用の)セレモニアル・ポールというのがあります。