南極点でくらす1年間のきろく

アイスキューブニュートリノ望遠鏡のWinterover(越冬観測員)として、1年間南極点のアムンゼン・スコット基地に滞在しています。家族、友達のみんな、まだ生きてます。

マクマードに行く話

冬を前にして、越冬隊のメンバーには休暇をとる権利が与えられます。

場所は南極点よりも30度近く暖かい海沿いのリゾート地です。マクマード基地といいます。

マクマードでの休暇が、人間以外の生き物がみれる最後の機会です。 鳥とかアザラシとかいるはずです。運が良ければペンギン見れます。

ということで、ここまで2ヶ月間いた南極点ですが数日のあいださよならします。

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笑顔で手を振ってないやつがジョンです。

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南極点を離れます。

LC-130にのるのは初めてです。嬉しいです。

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窓がきたねえ。

南極点のある標高3000メートルくらいのだだっ広い高地の上から、上の写真にあるような山脈を乗り越えて沿岸部に下っていきます。 南極点の景色と異なり、連なる山々やその間を削る巨大な氷河などとても変化に富んだ景色です。

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氷河の皺。何千メートルも高いところから撮影しているので、実際はとてつもなく大きいスケールでボッコボコになっているのでしょう。

他の輸送機もそうでしたが、飛行中のコックピットの中を普通にみせてくれます。 さらに写真とってもいいの?ってきくと、必ずサムズアップが返ってきます。 軍用機なんですが、いいんでしょうか。

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LC-130のコックピットのなか。写真をブログにのっけて、怒られたりしないんでしょうか。見つかりませんように。

マクマード基地の飛行場につきました。

飛行機から降りて、足元の雪質が全然ちがうことに驚きました。 相対的に温度が高いためか、こっちの地面はシャーベットみたいです。 シャビシャビです。 おらが基地の雪は超パウダースノーです。

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遠くに見えるのは、エレバス山です。

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LC-130がいっぱいならんでる。

氷河の上につくった滑走路から30分くらいかけてマクマード基地にバンで向かいます。

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マクマード基地。左下に見えるのは、100年以上前の遠征で建設された当時のまま現存する小屋(ディスカバリー・ハット)。

すごい...景色が真っ白じゃない...。地面が土だ...。 それになんだか景色に情報が多いです。

とにかく休暇開始です。そのへんをさんぽします。

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遠くにみえる、アメリカ沿岸警備隊の砕氷船。

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きれいだけど、おちたらしぬ海。

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アムンゼンが絶賛してたSeal。ステーキにして食べるのがいちばんうまいらしい。

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ペンギン。

ペンギンなんて水族館や動物園でどこでも見れるし、アイコンとして世の中にあふれていますよね。 でも実際に生きてるやつをここでみると、ほんとになんか不思議な感じがします。 ちゃんとペンギンって動物が生きてることを納得できたというか、面白い感覚でした。 なにより、”わあすげえペンギンや!”って感動しました。

ここまでで、何言ってるのかよくわからない、っていう奴は自分でここまで来て見てみればいいと思います。

クソほど強い風が吹くなか、ぼんやりずっとペンギン眺めてました。 ペンギンはなんでこんなとこ住もうと思ったんでしょうか。

しばらくマクマード基地でゆっくりします。