南極点でくらす1年間のきろく

アイスキューブニュートリノ望遠鏡のWinterover(越冬観測員)として、1年間南極点のアムンゼン・スコット基地に滞在しています。家族、友達のみんな、まだ生きてます。

ウィンタープロジェクト

南極点のウィンターオーバーの多くは越冬期間中のプロジェクトを用意してきています。

例えばジョンはマシーンラーニングの勉強*1、クリスチャンはMBAの勉強、ザックは自作のラジコンをラズパイで制御して基地の掃除をしてくれるルンバを粉々に破壊するルンバキラーを制作しています。

みんなスケールが小さいですね。だいたいザックはともかく、なんで南極点まで来てわざわざ小難しい勉強しなくてはならないのでしょうか。

器もやることもでっかい僕のプロジェクトは、サターンVロケットの建造です。

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ご存知人間を月まで運んだ、人類史上最強のロケットです。

さすがは21世紀、アポロ計画を支えたこのロケットも今やアマゾンで購入することができます。2月頃基地が閉鎖される前にギリギリ届きました。

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アポロ計画当時とは異なり、このサターンVはデンマークの某世界的企業によって再デザインされ、ほんの少しだけ小さくなっています。

残念ながら僕はロケット建造のノウハウを知りません。そこで元NASAのエンジニアのザックに技術監督をお願いしました。また、ロケット建造には人手も必要なのでポスターも用意します。

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ふざけているときが一番楽しいですね。

当日は気持ちを高めるために、小会議室建造サイトにモニターを設置し、アポロ計画関連の映画*2を上映します。

いかんせんロケット建造には危険も伴います。そこで医師のジュリアンも参加してくれました。万全の体制で望みます。

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映画と見比べながら初段ロケットを組み立てます。

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全く理由はないですが、ケビン・ベーコンが出てくるたびにみんなで盛り上がります。しかしベーコンって名字すごいな。本名かどうか知りませんが、子供の頃イジメられなかったでしょうか。

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ケビン・ベーコンが見守ってくれています。

数時間に及ぶ作業の末、見事完成させることができました。

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心配そうに見守ってるのが、元NASAのザック。

完成したロケットを飾るために食堂へ持っていくと、ちょうど自家製アイスクリームを作っているところでした。

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ただのアイスクリームではありません、研究用の液体窒素とパン製造用のミキサーを使って一瞬で作ります。

とても濃くて美味しいアイスでした。

こんなふうに越冬中の南極点では、日々を面白いものにしようと、みんなで知恵を出しあって楽しく生活しています。

*1:半年経ちましたが、やってるところみたことありません。

*2: アポロ11(2019)とアポロ13(1995)