南極点でくらす1年間のきろく

アイスキューブニュートリノ望遠鏡のWinterover(越冬観測員)として、1年間南極点のアムンゼン・スコット基地に滞在しています。家族、友達のみんな、まだ生きてます。

南極点の一年間の気温まとめ

あさってで南極点に来てからちょうど一年になります。

気象部門のジェフに頼んで、この一年の気温のデータをもらいました。

下の図はデータをグラフ化したものです。久しぶりにPythonで図を作る”リハビリ”も兼ねています。

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黒線は各日の平均温度、灰色の帯は一日のうちの変動。南極点は(もちろん)南半球にあるので、12月ごろが真夏、6月ごろが真冬です。感覚的には3月21日に日が沈んでからはずっと日の出まで真冬です。ていうか年中ずっと超真冬です。

最高気温は2019年12月12日のマイナス20.4℃、最低気温は2020年9月11日のマイナス75.6℃でした。

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今シーズン最高気温を記録した日。このときマイナス20.4℃。

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今シーズン最低気温を記録した日。このときマイナス75.6℃。

もうすっかり感覚が麻痺しているのでアレですが、よく考えるとマイナス75.6℃って意味不明ですね。当日は寒かったですよ。

そういえば基地の中で摂氏を使うのは気象部門のジェフと、オーストラリア人の(別の)ジェフと、僕だけです。 アメリカの基地なのでみんな華氏を使います。 摂氏マイナス73度くらいが、ちょうど華氏でマイナス100度に相当します。

華氏マイナス100度を下回る日には”300 club”なるものが開催されます。 「ガンガンに熱した基地のサウナ(華氏200度)で身体を温めたあと、ほぼ裸/素っ裸で上の写真の南極点(華氏マイナス100度)まで行って帰ってくる」チャレンジです。 要は差が華氏で300度だということです。 このチャレンジに成功したもののみが300 clubへの入会を認められます。

実は上の写真は、チャレンジの様子の撮影を頼まれたときのものです。 この写真のすぐ後、基地から素っ裸のウィンターオーバーが群れをなしてこの南極点のポールにやってきます。 カメラ構えて待ってる側から見ると、異様な光景でした。

ぼくは別の寒い日(華氏マイナス100度を下回った日は今シーズン2回だけありました。)に成功済みです。 寒いから小走りでポールまで走ったのですが、それが大間違いでチャレンジの後、寒さで喉が焼け付いたというか荒れたというか、まともに喋れなくなってしまいました。

まとめると、南極点は寒いけど楽しいということです。

おしまい。