さむいけど外で働く
一年のうちに数度、アイスキューブの86箇所の検出器が埋まっている地点で新雪がどれくらい積もったか測定する必要があります。 太陽が沈んでしまう前に、極夜前最後の測定を行いました。僕とジョンがここに来てから2回目です。
一体なんのことかわからない場合は、前回やったときの様子をまとめたアホみたいなエントリーをみてみてください。 talking-penguin.hatenablog.com
早い話、IceCubeの全地点を回ると、直線距離でも10km以上になります。 こんなに寒くて*1、新雪が積もって歩きにくいところを10kmはやってられません。
なので乗り物が必要なんですが、近頃は寒さが一段階上のレベルに達して、もう大体の車両は寒くて動かないのです。 具体的にはエンジンがかかりません。 そこで、どんだけアホほど寒くてもしっかり動いてくれる、頼りになるあいつの登場です。
雪上車です。
上の写真からもわかるかもしれませんが、この日は特に天気が悪い日でした。 むちゃくちゃ寒いのと強風です。風があると、雪が舞うせいでついでに視界がなくなる特典が付いてきます。
実際のところは、おもしろ半分で逆に天気が悪い日をわざわざ狙ってやりました。こういうおもしろ体験をやるために南極点に来ている訳です、むしろ予想より天気が良くてイラッとしたくらいです。ちなみに予想の体感気温は華氏マイナス130度でした。摂氏だとマイナス90度ですね。ははは。
具体的に何してるかというと、メジャーで雪面から出た分の棒の長さを測るという簡単な作業です。ただ周りの環境のせいで簡単ではなくなります。 やっぱり、もうほんとに寒いんですよね。5本指手袋を2重にしても、外で作業しようものならすぐに指先がSOSを発します。なので、その上にさらに巨大なミトンをつけています。
ちなみにカメラで写真を撮るものめちゃめちゃ大変です。すぐガチガチに凍ってレンズがスムーズに動かなくなります。なのでオートフォーカスがほとんど使えません。 マニュアルフォーカスすりゃいい話なんですが、フォーカスリングがかさばった手袋で操作できるようになってないので、どうしてもここでミトンを外して、5本指手袋で操作しなくてはいけません。つらいです。その上ファインダーを覗いても、凍った上下のまつ毛がくっついて目があまり開けられないので、何見てるのかよくわかんないです。
最後は雪上車すげえってことがよく分かるGifアニメです。キャタピラなのでその場で180度転回できます。
このGifアニメでもわかるのですが、こんな無理な動きをさせたせいで回転した最後にエンジンが止まってしまいました。 面白いからやってみようよと言ったのが自分な手前、”ぶっ壊したら俺の責任だ!”と僕の心臓も止まりそうになりましたが、そこは雪上車、しっかり再始動してくれました。
ありがとう、雪上車。
*1:改めて言うと、世界で一番寒いところの一つです。