南極点でくらす1年間のきろく

アイスキューブニュートリノ望遠鏡のWinterover(越冬観測員)として、1年間南極点のアムンゼン・スコット基地に滞在しています。家族、友達のみんな、まだ生きてます。

南極点で爆走

きょうもまた、素晴らしい一日となりました。

IcecCubeの検出器は、86本のStringと呼ばれる深さ約3,000mの穴のなかに、それぞれ60個のチェレンコフ光検出器を牡蠣棚のように並べることで構成されています。 86 StringsはIceCube Laboratoryを中心とする半径500mの円のなかに均等に広がっています。

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(ref: https://icecube.wisc.edu)

今回、86本のString各位置で新たに雪がどれくらい積もったかを測定する必要がありました。 全部歩くと、最短ルートでも10km以上歩くことになります*1。 ボスから”スカウトを使うべし。”との指示がありました。 何のことかわかりませんが、トラックか何かのことでしょう。

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スカウト(雪上車)。すっげえ。まるで南極みたい。

スカウトとは雪上車のことでした。 もう最高です。キャタピラだ!!

ジョンには悪いですが、我先に運転席に乗り込んでドライバーのポジションを既成事実化します。 運転するのはこの俺だ。

なおこのでっかいおもちゃ、片方のベルトだけを動かせるので、その場で360度回転できます。 ...すげえ。ロボットみたい。超すげえ。

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86本あるIceCube Stringのうちのひとつ。ここから地下1,500-2,500mの氷河のなかに60個のチェレンコフ光検出器が埋まってます。

線が引かれてないところをでかい車で好き勝手に走り回るって、よく考えたらはじめての経験です。 たのしすぎて運転中、”わぁ~”、”ひゃ~”って声にならない声を出し続けてました。

あまりに好き勝手に走るので、ナビゲーションがしづらいとジョンが若干キレてました。

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盆と正月が一緒にやってきました。最高の日です。(Image credit: Steve Sclafani, IceCube/NSF)

雪上車の操作ですが、なんとハンドルはありません。前後左右に動くレバーです。 ...はんぱねえ。ゲームみたい。超はんぱねえ。

4時間近く運転しましたがひたすら楽しいだけでした。ぜひ一台欲しいです。

いやもうほんと最高だな、ここ。

*1:これはこれで楽しそうですが、また今度にとっておきます。