南極点でくらす1年間のきろく

アイスキューブニュートリノ望遠鏡のWinterover(越冬観測員)として、1年間南極点のアムンゼン・スコット基地に滞在しています。家族、友達のみんな、まだ生きてます。

雪かきと人体実験

今シーズンのIceCube検出器のアップグレードはすでに完了しています。 検出器に異常が起きない限りは、基本的に待機です。 なのでIceCube実験の将来計画のために色々なプロトタイプ検出器を試している、他の研究者の手伝いを毎日しています。

新しいセンサーをIceCubeのネットワークの中に取り込む、といった多少頭を使う仕事もあったりしますが、基本は力仕事です。つまり雪かきです。

f:id:talking_penguin:20200119163624j:plain
雪が湿ってないので、掘りやすくて楽しいです。マイナス25度くらい。

マイナス数十度でも、風がなくて日が差しているような状況だとほんとに半袖で作業できます*1

f:id:talking_penguin:20200119163421j:plain
アンテナケーブルの配線のためのトレンチ。

でもまあ、なんやかんや死ぬほど寒いので顔をちゃんと覆ってないと凍傷になってしまいます。 特に風の強い日はやばいです。 もちろんみんな気をつけているので、基地の中で凍傷になっているアホなやつなんかいません。

ただ一人をのぞいては。

f:id:talking_penguin:20200119163713j:plain
頬の辺にいくつかある、シミみたいのが凍傷の痕です。(Credit: C. Tung)

ほんとに凍傷なるのか風の強い日に目出し帽とかつけずに試しに歩き回ってたら、ほんとに凍傷になりました。

実験の結果、南極点なめてると本当に凍傷になることがわかりました。

f:id:talking_penguin:20200119163358j:plain
トレンチに潜むIceCube Run Coordinator

*1:我慢すれば。