南極点でくらす1年間のきろく

アイスキューブニュートリノ望遠鏡のWinterover(越冬観測員)として、1年間南極点のアムンゼン・スコット基地に滞在しています。家族、友達のみんな、まだ生きてます。

イグルーとか作っちゃう人たち

IceCube実験のサブプロジェクトの1つに、IceCube検出器のすぐ隣のところにある2000 m近く掘ってある穴を使って、氷の性質を測定するプロジェクトがあります。 氷の性質をより詳しく理解することが、IceCube検出器によるニュートリノの到来方向決定やエネルギー測定の高精度化につながるためにとても重要な測定です。

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測定サイトのようす。ウィンチで2000mの深さまで測定器を降ろします。

写真からわかるように、この測定にはウィンチが欠かせません。 きのうウィンチが南極点まで届いて、今日から測定が始まったのですが、ここに至るまでは長ーい苦労がありました。

このウィンチ、秋先に南極点に向けて最優先で送ったはずが、残念ながら一番遅くついてしまいました。 今年、輸送機が故障しまくってロジスティクスがメチャクチャになってしまっている影響をもろに食らったかたちです。 なんと、予定より1ヶ月遅れです。 こういった測定は短い夏の間にしか行えないため、この遅れは致命的です。 測定を担当するエキスパートの人たちは、はじめ”大丈夫、毎年遅れるから笑”という楽観から、 ”なんだか今年は様子がおかしい。もう予定がメチャクチャだ..."と悲観に変わり、ウィンチが到着してからは”まあ24時間ぶっ続けでこれから毎日作業すればいいか。”と達観のようすでした。

きのうまでウィンチが届くの待っていた間、もちろん他に準備することもあるのですが、さすがに1ヶ月あれば暇になってしまいます。

南極大陸のど真ん中で時間が余ったとき、どうするか?

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雪が乾いていて、かつ密度が高いのでまるでレンガみたいです。

彼らはイグルーを作るのです。

いわく、”10年前に講習会で習ったからちょっとやってみた。”とのことです。 DIYオバケか、アメリカ人は。

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すげえな。

カマクラっていうよりは、もう家です。4畳半くらいはありました。 イグルー作った本人、ここで普通に寝泊まりしてました。 夏とはいえ体感温度はマイナス30度を軽く下回ります。

そういえばきのうは、さらにシャンデリアかミラーボールを取り付けようって話してました。 きっとそうするんでしょう。