南極点でくらす1年間のきろく

アイスキューブニュートリノ望遠鏡のWinterover(越冬観測員)として、1年間南極点のアムンゼン・スコット基地に滞在しています。家族、友達のみんな、まだ生きてます。

トラバース隊のキャンプ訪問

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トラバース隊のキャンプ@南極点

土曜日に、南極点に滞在しているトラバース隊のキャンプの見学会がありました。もちろん参加します。

ブルドーザーの近くにいるおっちゃんに話を聞かせてもらいます。

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ウィスキー飲みながら説明してくれます。

聞くにこのひと、ブルドーザーの車列を先導していた”Fram”号のオペレーターの方のようです。 ぼくがいちばんカッコいいと思ってた車両です。

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先頭をいくのがFram号。

Framはアムンゼン隊を南極大陸に運んだ船の名前ですね。 アムンゼンの本読んでるので知ってます*1。 そういえば来る12月14日は1911年にアムンゼンが南極点に到達した日です。

おっかない風貌のおっちゃんですが、意を決して話しかけます。 彼らが基地にやってきたとき、めちゃめちゃ写真を撮ってたことを伝えました。

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”そういえば写真撮ってるやついたな、見てたぜ!ガハハハ!”*2

いいおっちゃんでした。

のっていいぜとのことだったので、フラム号にのせてもらいました。

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ああ嬉しい。(Credit: C. Rahl)

このでっけえブルドーザーで南極点まで1ヶ月かけて、氷河のクレバスやらなんやらを乗り越えてやってくるのです。 メチャクチャな環境下で毎日12時間強行軍するために、どんどんぶっ壊れる車両を修理しながらの旅だそうです。 まったく冒険ですね、羨ましい。

おっちゃんいわく、”アムンゼンたちは、ぶっ壊れた発電機やらエンジンやらの面倒みなくてよかったんだろ?そしたら南極点までくるのなんか簡単じゃねーか!ガハハハ!”*3とのことです。かっこいいぜ。

乗り物だけでなくて、生活モジュールの一緒に牽引してくるいろんなコンテナも見せてもらいました。

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左側に写ってるのがキッチンコンテナです。ちなみにまんなかはIceCubeの建物です。

キッチンのなかで、いろんな話を聞かせてもらいます。

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赤い服のひと:”ぼくはまだまだでトラバース10回目くらいかな~。”、まわりの見学者みんな:”(え、それ多くないっすか...)”

なんかもうすげえ奴いっぱいいるなここ。

*1:アムンゼンの日誌は1911年の7月に達しています。日誌によるとアザラシのステーキを毎日食って、相変わらず犬がウンコ食ってる話をしてます。

*2:意訳

*3:意訳