南極点でくらす1年間のきろく

アイスキューブニュートリノ望遠鏡のWinterover(越冬観測員)として、1年間南極点のアムンゼン・スコット基地に滞在しています。家族、友達のみんな、まだ生きてます。

チームビルディング

ロッキー山脈の山奥にやってきました。10月末にして大雪です。

最後の最後のトレーニング、チームビルディングのためです。

事前に受けたEQのテストの結果を踏まえた自分のパーソナリティの分析*1と、チームに別れていろんな課題をこなすといった内容です。

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チームビルディングの一環として、ダンボールとダクトテープでボートを作りました。

課題をこなしてて、いろいろ感じるところがあります。 なんというか、そりゃあアメリカ人なら月に人間送り込めるわ、としみじみ思いました。 みっちり1年あるので、バイタリティ少し分けてもらうつもりです。

 

ところで、Winteroverに採用されてから半年近くたちます。 採用されて以来、誰かに紹介してもらうとき、また自分のことを説明するとき、一番にくるのは”こんど南極点で一年働くやつ”ということでした。 大概の場合、誰に話しても驚いてもらえるし、話も広げやすいです。 しょうもない話、食事のときなど、それだけで心理的にテーブルに居場所を確保できるような気がしてとても楽でした。

困ったことは、いまや周りにいる人全員が”こんど南極点で一年働くやつ”なのです。 ぼくの主要アピールポイントが埋もれてしまいました。

さらにいうと、話を聞くにみんな経歴が凄まじいのです。 主に南極に何回も行っている猛者パターンと、前職が超有名企業/機関パターンの2つです。 例として、今日の晩ごはん一緒に食べたメンバーは後者のパターンでした。

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前職場がそれぞれマサチューセッツ工科大学、NASA、Space Xという宇宙開発ドリームチームに囲まれて食事です。

マジでなに食って育ったらNASAで働けるようになるんですかね。

アメリカの南極点越冬隊は選ばれしひとたちの集まりのようです。 ぼくも、そのなかに紛れ込むことができてその一員になれて光栄です。 何にせこれから、いろんな話をきける素晴らしいチャンスになりそうです。

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ちなみに100年前の南極遠征隊の募集。今と当時、どちらの選考が厳しいでしょうか。(Image credit: smithsonian.com)

*1:なんと”問題解決能力”で非常に低い点数をとりました。いちおうこれでも研究者なんですが...