南極点でくらす1年間のきろく

アイスキューブニュートリノ望遠鏡のWinterover(越冬観測員)として、1年間南極点のアムンゼン・スコット基地に滞在しています。家族、友達のみんな、まだ生きてます。

ハッピー・リトル・アクシデント

朝のまだ暗いうちにホテルをでたシャトルバスは、クライストチャーチ空港の特別ターミナルを目指します。

いよいよ南極大陸に向かう日です。

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みんな制限重量いっぱいの荷物

飛行機に持ち込める荷物のルールは、 ”約40kgの預け荷物 + 重量制限は無いものの寸法に制限のある機内持ち込み手荷物” です。

この荷物のなかには、南極点の気候に耐えうる大量の各種防寒具のセットも含まなくてはいけないので、重量もサイズも制限をいっぱいに使ってギリギリパスしました。 しかも、IceCube Winteroverの二人でなんとかして持ってきてねみたいな荷物が10kg近くあります。 言わずにはいられないのは、それ、ぜんぶ僕の荷物の中です。 いつか、なにかあった日にはジョンにこの日のことを思い出させます。

なんとか工夫して荷物の重量をごまかすために、極寒地用の服を重ねて着ています。 さらにポケットというポケットには小物を詰め込んでいます。 なにしろ外は夏です、暑くて仕方ありませんでした。 これまでとは違う理由で、ほんと一刻も早く南極に行きたくて仕方なかったです。

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いよいよセキュリティチェックを終えてバスにのる直前、”みんな待合室にもどって~!”とアナウンスが入ります。

残念ながら、直前で搭乗予定の輸送機C-17の機体に不具合があることが発覚しました。 待合室で情報の更新を待ちます。

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待機してるようす。

待機している間、みんなで相談してWinterover間の連絡にはFacebookのメッセージアプリを使うことになりました。 節を屈して、渋々Facebookにアカウントを作りました。

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友達申請のやり方を教わっているようす。みんな爆笑してました。

友達がたくさんできました。

しばらくして、アナウンスがあります。

どうやら機体の修理が必要らしく、今日は飛ばせないそうです。 次に飛ばせそうなのは最短で3日後だとのことです。 一瞬イラッとしおかしいなと思いましたが、すぐにとても大事なことに気が付きます。

そうです、2日間のニュージーランド観光が天から降ってきました。

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すこし散歩して山の上にいくと気持ちが良いです。愛らしい羊がたくさんいます。この日の夕食はラムのローストでした。

ニュージーランドはロード・オブ・ザ・リングの撮影地になったくらい風光明媚なところです。

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南極から帰ってる人たちはニュージーランドでしばらく休暇をとる人が多いようです。納得です。

思いがけない休日を満喫しました。クタクタです。 こうしてブログを書いている間も、腕が痛みます。 写真に写っている湾でみんなと2時間カヤックしたからです。 もう死ぬほど楽しかったです。

ほんと故障してくれてありがとう、C-17。