南極点でくらす1年間のきろく

アイスキューブニュートリノ望遠鏡のWinterover(越冬観測員)として、1年間南極点のアムンゼン・スコット基地に滞在しています。家族、友達のみんな、まだ生きてます。

ハッピー・サンクスギビング

今週の土曜日の夜に、アムンゼン・スコット基地のみんなで Thanksgivingのパーティがありました。

シェフの人たちはもう、サンクスギビングのディナーに向けて一ヶ月前くらいから準備しています。 基地の人たちは、サンクスギビングの日には何を着るだの、どうのこうのと散々話しています。 一方で、越冬しないで早めに帰る人たちはサンクスギビングまでにアメリカに戻れるか否かを真剣に議論してました。 機体の故障やらなんやらで例年以上に遅れに遅れている、アメリカ空軍の南極点への物資の輸送も、当然のようにサンクスギビングの週末はフライト全部キャンセルです。

とにかく、全員が真剣なイベントとして捉えている印象です。 たぶんアメリカだけの祝い事ですよね。カナダもかな。 正直に、”サンクスギビングって何のことかわからないし、経験したことないよ。”と話すと、なんて不幸な人生を送ってきたんだみたいな顔をされます。

ただの祝日だろ。そこまで騒がなくてもいいのに。

ディナーは2部制です。後半の部に席をとりました。 時間になって食堂に向かうと、通路にAppetizerのコーナーができていました。

まずはMulled Ciderという、温かいシードルみたいなのをオレンジ輪切りとシナモン入りのマグに注いだものから提供されます。 続々とやってくるみんなが、いつもの適当な服と違って、おしゃれをしていてとても新鮮です。 それだけでお腹いっぱいになりそうな、山のような無数のおつまみをつまみつつ、みんなで話を楽しみます。 なんだか、みんなの雰囲気がとてもハッピーな感じで、幸せな気持ちになります*1

しばらくして食堂に入ると、いつもと全然違う感じになっていました。

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めちゃくちゃ偉いひとのスピーチ。

席にはメニューが配られていました。

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記念に持って帰りました。

ソムリエ役をイタリア人とフランス人の研究者のひとがボランティアでやったりするのですが、まるでプロのようで面白かったです。 それに限らず、デコレーションから皿洗いに至るまで、シェフの仕事をできるだけサポートするために基地の人全員が協力してディナーを盛り上げます。

暗くて写真はあまりないですが、どの料理も本当に美味しかったです*2。 ターキーって、サブウェイのサンドイッチくらいでしか食べたことなかったのですが、ちゃんとしたの食べるとめちゃくちゃうまいっすね。 サンクスギビングについて改めて聞いたところ、特になにかセレモニー的なことをするわけでなくて、単にみんなでお腹いっぱい食べる日のようです。 なんて素晴らしい祝日でしょうか。

さんざんいろんな話をして、お腹いっぱい食べたあとに待っているのはデザートです。 ピーカンパイ、パンプキンチーズケーキ、アップルパイ、チョコレートケーキとエース級のうまいやつが並んでいます*3。 もちろん横にはホイップクリームのバカでかいボウルが完備されています。 しかも今日のホイップクリームは一味違います。メイプルホイップクリームです。最高です。 でかいオタマつかって、なみなみと皿にもりつけます。

なにしろ飲んで食って、素晴らしいディナーでした。

サンクスギビング、マイ・ベスト祝日決定です。

ハッピー・サンクスギビング!

*1:アホみたいな表現ですね。

*2:そういえば、ここアムンゼン・スコット基地の食事は毎日最高です。

*3:川上憲伸、吉見一起、チェン・ウェイン、今中慎二みたいなことです。