南極点でくらす1年間のきろく

アイスキューブニュートリノ望遠鏡のWinterover(越冬観測員)として、1年間南極点のアムンゼン・スコット基地に滞在しています。家族、友達のみんな、まだ生きてます。

エンド・オブ・ザ・ワールド

日曜日、なかまとクロスカントリースキーを使って少し遠出をしました。

基地内の用語で、エンド・オブ・ザ・ワールドと呼ばれるほとんど人工物が無い方角に向かいます。 目指すは基地から数キロ離れたところにある小屋です*1

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小屋まではブルドーザーの痕跡があります。なぜなら小屋ごとブルドーザーで運ぶからです。

アムンゼン・スコット基地に来てからはじめてクロスカントリースキーを使ってみているのですが、普通のスキーと全然勝手が違ってとても難しいです。 普通のスキーみたいに、V字で押し出すように前に進むのはとても無理です。 Youtubeで正しい滑り方を調べようとしても、ストリーミング禁止ルールがあるので観られません。

まあ、進めばよいのです。悪戦苦闘しつつ、小一時間くらいで小屋に着きました。

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小屋っていうか、部屋もしくは箱。
許可をとれば寝泊まりしてよいそうです。冬に来たら面白そうです。たぶんありえないくらい星がキレイだと思います。

小屋でチョコレートチャンククッキーを食べて一息ついた後、トレースを離れてほんとになんにも無い領域に向かいました。

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どこまで行ってもなんにも無い。
アムンゼンとかスコットとか、こんなとこをひたすら進んでたなんてほんと根性ありますよね。

そういえば体感温度は、暖かくなってきてはいますが、マイナス40度です。 もちろん寒いんですが*2、運動していると手以外は案外平気なもんです。

ところどころサスツルギと呼ばれる風でできた波模様の構造があります。 大きいサスツルギを見つけてはみんなで喜んで駆けてゆき、(当然ですが)ジャンプして遊びます。

まずはネイサンの番です。

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(GIFアニメ)これはジャンプと呼べないでしょう。
まだまだです。

次はザックの番です。

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(GIFアニメ)ジャンプっぽい。
なかなかいい線いってますが、着地で失敗しては元も子もないです。

ふたりともフルマラソン走っちゃう感じのびっくり人間ですが、スキーはからっきしのようです。

しょうがない。見せてやりますか、飛騨の山奥で培った実力を。

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胸を打ちつけました。いまでも痛むのは身体でしょうか、それとも心でしょうか。

忘れてました、運動全般苦手なこと*3

*1:なんかの目的がある小屋なんですが忘れました。

*2:むしろ痛い。

*3:長座体前屈だけはいつもトップクラスでした。